それはよく晴れた記念すべき日。
今日学び舎を後にする。最後の制服。
卒業証書と引き換えに、高校生活を思い出にする。
一つの旅立ち。
いつもの通学路も最後の日。
下校途中にご祝儀を渡される。
今日姉が嫁いで行く。
式場に着いた頃、姉は身を白無垢に包まれていた。
お遣いを頼まれる。
近くのコンビニで用事を済ませようとしたその時、紋付袴の新郎が会計を済ませてくれた。
姉は、この人の元へ嫁いでいくんだ。
神前式の厳かな空気をビデオカメラに収めていた。
お神酒を飲む姉の横顔をアップにしてみる。
神に誓う契りは交わされた。
集合写真の片隅に、私はいる。
誰もいなくなったその場所に少し一人で居座ってみる。
おめでたい喧騒の中で、一人だけ異空間。
披露宴までの間、ビデオカメラを手に外へ出た。
道端の花、うららかな春の川辺、近所の犬、人工的な陸橋、公園のブランコ。
今日と言う日の同じ景色はもう二度と来ないから。
全ての催しが終わりを告げた。
ついに制服を脱がなければ。
いつものようにクローゼットを開く。
そこにあったのは、「祝・卒業」の文字と真新しいスーツ。
姉からのプレゼント。
ようやく気が付いた。もう姉は帰って来ないということと、もう制服はいらないってことを。
涙が溢れて止まらない。
おめでとう、ありがとう、さようなら。
瞳を閉じればあなたが まぶたの裏にいることで
どれほど強くなれたでしょう あなたにとって私もそうでありたい
真新しいスーツに身を包んで新生活へと踏み出していく。
幼い頃、姉と二人乗りしたブランコから見上げたあの空の景色を思い出しながら。
3月9日の景色を、姉は妹の視点から思い出す。
お気づきでしょうか?何のお話か。
タイトルを見れば解るとおもいますが、
レミオロメンの「3月9日」のPVです。
私の勝手な解釈がほとんどだし記憶違いもあるかもしれないけれど。
先日スペースシャワーTVで流れてて、とても印象に残ったので書いてみました。
結婚する人に向けてかかれた曲とは聞いていましたが、
このPVのように結婚する当人たちじゃなくても当てはまる人はいっぱいいるんじゃないか、そう思いました。
目をつぶっても思い出せる、そんな物の存在が自分を強くしてくれた。
恋人だけじゃない。
家族であり、友達であり、職場の人であり、大切な物であり。
この曲で一番好きなフレーズは
うまくはいかぬこともあるけれど 天を仰げばそれすら小さくて
小さいんだよね、きっと。うまくはいかないことなんてさ。
けど、そんな小さいものに潰されそうになる自分はもっとちっぽけだ。
小さいなりに歩いていこう。
周りを見ればみんないる。
いつか「3月9日」のPVを見たら、あなたなりの感想を教えて下さい。